(国)防災科学技術研究所は3月3日、兵庫県と共同で同研究所の「E-ディフェンス」と呼ばれる実大三次元震動破壊実験施設を使って農業用ため池の堤の耐震性を調べる振動台実験を行うと発表した。
E-ディフェンスは、実規模の構造物を振動させて破壊のメカニズムを解明する兵庫県三木市の同研究所兵庫耐震工学研究センターにある世界最大級の実験装置。今回の実験は、そのE-ディフェンスを使って農業用ため池の安全性を調べるのが狙い。
全国には、約20万カ所もの農業用ため池があり、その改修工法としてため池の堤の上流側にシートを設けて水を止める遮水工法が使われている。しかし、遮水工法の大規模地震に対する耐震性については、未解明な部分があり、評価方法が確立されていない。
今回の共同研究は、近年増えている粘土の一種ベントナイトを織布などで挟んだ遮水シート工法で改修された、ため池堤体の耐震性を検証しようとするもの。実験では、E-ディフェンス上に鋼製土槽を2体設置し、遮水シートなど2種類の堤体を置いて実規模の試験体に最強の「L2地震動」と呼ばれる震動を加えることにしている。