(国)産業技術総合研究所は1月21日、電気を通すことのできる食品包装用のラップフィルムを、トクセン工業(株)と開発したと発表した。透明で柔らかく伸縮性に優れ、強くて電気的安定性を持ち、大面積でも使えることから、生鮮食品の鮮度管理や、曲面タッチパネル、人体などの特殊センサーなどに応用できる。
■生鮮食品の鮮度管理や曲面タッチパネルに応用
ウエアラブルは身につけて持ち運ぶことができる電子デバイスで、急速に注目されるようになった。だが透明で薄く、伸縮性があり、同時に電気を安定性に流せる強靭な大面積のエレクトロニクス材料となるとほとんどない。
トクセン工業は電線加工技術の企業で、世界で最小径の電線の開発に成功している。産総研は、トクセン工業が作った髪の毛の10分の1ほどのピアノ線の極細金属ワイヤー(線径9μm)を、2枚の薄いフィルムの間に挟み、波型状に配線した。配線はほとんど目に見えず、伸縮させてもワイヤーの長さは変わらず、断線しない強さが確かめられた。
ラップした食品や物質には直接電気は流れない。物質との間の生じる静電容量の変化を検出することでセンサーに使う。製造プロセスを工夫し、導電性ラップフィルの量産化を図る。

開発したラップフィルムの特徴(提供:(国)産業技術総合研究所)