観測ロケットで電離圏のプラズマを計測
:宇宙航空研究開発機構(2016年1月15日発表)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月15日、同日同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)から観測ロケット「S-310-44号機」を打ち上げ、電離圏の観測を行ったと発表した。

 S-310は、直径31cm、全長7m強、打ち上げ時の重さ(自重)約700kgの単段式(一段式)固体燃料ロケットで、同50kgの観測機器類を搭載できる。

 電離圏は、高度60〜1,000kmにある大気が電離して電子とイオンからなるプラズマの状態になっているゾーンのこと。緯度25〜32度の電離圏下部には、冬の時期、太陽エネルギーによって電流が発生している「Sq電流系」と呼ばれる巨大な環状のゾーンが現れる。44号機は、その環状のゾーンに「電離圏プラズマ加熱現象の解明」を目指して打ち上げた。

 ロケットは、打ち上げから198秒後に最高高度161kmに達し、「Sq電流系」の高温度層内のプラズマや電場、磁場などの計測を5種類の観測機器で行うことに成功した。

 計測結果の詳しい解析は、今後JAXAと実験に参加した富山県立大学、東北大学、東海大学、九州大学が実施する。電離圏は、地球以外の大気のある惑星にも存在ており、JAXAでは、今回の実験で深められる電離圏の理解は、地球以外の惑星の大気や電離圏を考えていく上でも生かされるとしている。

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