
「くろこじろう」を原料とした試作品。左が納豆、右が甘納豆(提供:(独)農業・食品産業技術総合研究機構)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は3月5日、倒れにくく、栽培しやすい小粒黒大豆の新品種を開発したと発表した。
小粒の黒大豆で作った納豆は、高級納豆として販売され、消費者に人気がある。
しかし、その原料として使われている「黒大豆小粒」と呼ばれる小粒の黒大豆品種は、倒れやすいため栽培しにくく、生産者の取り組み意欲が低いことから量の確保が難しいという問題を抱えている。
新品種は、作物研が人工交配により育成し、11年間にわたる選抜試験を加えて作った。既に品種登録出願済みで、名称は「くろこじろう」。倒れにくいほか、茎が間延びしてツタ状になる蔓化(まんか)と呼ばれる現象の発生が少ないことから収穫しやすく、コンバイン収穫の際の刈り残しなどのロスを低減できるという。粒の大きさは、極小粒で、納豆のほか豆菓子や豆餅の原料としても使える。
栽培適地は、東北南部から関東にかけてと、東海地域。茨城県で今年から生産が始まる予定で、県内の加工メーカー1社が高級納豆と甘納豆の製品化を計画しているという。