(独)農業環境技術研究所は3月4日、畑に作物を栽培した時の発病のしやすさを診断・評価する新しい土壌病害管理法(略称:ヘソディム)を開発したと発表した。過剰な農薬の使用を防ぎ、より低コストで環境負荷の少ない病害管理が期待できることから、ヘソディムの普及を目指してマニュアルを作成、公開した。
■発病のしやすさを3段階で評価
ヘソディムは「健康診断に基づく土壌病害管理」の英文頭文字から成る略称。従来の物理化学的な土壌評価に加えて、土壌DNA解析による生物性の評価を行い、畑の土壌を診断、その畑に作物を栽培した時の発病のしやすさを軽度、中度、重度の3段階で総合的に評価し、そのレベルに応じて対策を講じるというもの。
細菌類の培養を経ずに、土壌から直接抽出したDNAを解析して土壌生物相を調べる手法が広く利用できるようになってきたことから、この手法を取り入れ「畑の発病のしやすさ(発病ポテンシャル)」を総合的に評価し対処するという、予防医学の発想に基づく管理手法を開発した。
発病は気象などの影響を受け、正確に予測することは困難なため、発生予測に頼らずに防除の必要性の有無や適切な防除手段を決定するようにしたのが特徴。これまでにレタス根腐病やアブラナ科野菜根こぶ病などで有効性を確認した。
公開したマニュアルは指導員向けで、土壌病害ごとに作成しており、現在、対象病害を増やしているという。長野、三重、香川、高知県などで運用が始まっており、今後、広く普及させたいとしている。