惑星探査機「はやぶさ2」が巡航フェーズに
―初期機能確認終え小惑星に向け1回目のエンジン運転
:宇宙航空研究開発機構(2015年3月3日発表)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月3日、昨年12月に打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」が約3カ月の搭載機器等の初期機能確認・取得データの評価などを終了し、探査目標の小惑星「1999JU3」に向けた航行段階(巡航フェーズ)に入ったと発表した。今後、今年11~12月に予定されている、地球重力を利用して目標の小惑星に向かう軌道変更と加速を行う「地球スイングバイ」に向けた運用を実施する。

 

■次の関門は今年暮れの地球スイングバイ

 

 JAXAの計画では今後、地球スイングバイまでの間に「はやぶさ2」イオンエンジン2台での運転を2回合計約600時間行い、探査機の増速を計画している。エンジン運転の1回目は既に3月3日から始めており、3月中に約400時間のイオンエンジン運転を行う。次の連続運転(約200時間)は6月上旬ころ、実施の予定となっている。

 「はやぶさ2」は昨年12月3日、種子島宇宙センターからH-ⅡAロケット26号機で打ち上げられた。3月3日午後2時現在、地球から3590kmのところを秒速27.36kmで航行している。今年11月~12月に行う地球シングバイで増速、目標の小惑星「1999JU3」に向かう。到着は2018(平成30)年6~7月ころ。科学観測や試料採取をして、翌2019(平成31)年11~12月ころに小惑星を離れ、打ち上げ6年後の東京オリンピックの2020(平成32)年11~12月ころ、地球に帰還する計画だ。

 「はやぶさ2」は2010年に小惑星イトカワのサンプルを地球に持ち帰った「はやぶさ」に続くわが国の小惑星探査機第2号。「はやぶさ2」の「1999JU3」探査は、太陽系の起源・進化と生命の原材料物質の解明を目指している。今回目標の小惑星はC型と呼ばれるタイプで、S型の「イトカワ」より始原的な天体で、同じ岩石質の小惑星だが有機物や含水鉱物を、より多く含んでいると考えられている。

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