
真空散乱槽の設置の様子(提供:高エネルギー加速器研究機構)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の物質構造科学研究所は1月19日、東海村(茨城)の「J-PARC(大強度陽子加速器施設)物質・生命科学実験施設」に増設中の中性子ビームラインに取り付ける真空散乱槽の設置が終わったと発表した。
J-PARCは、KEKと(独)日本原子力研究開発機構が共同で建設し2008年12月から運用に入っている加速器施設。
その中核をなす物質・生命科学実験施設は、加速器からのパルス状の陽子ビームを使って発生させた中性子ビームやミュオン(素粒子の一つ)を用いて生命科学の研究を行う施設で、中性子ビームを取り出すライン(中性子ビームライン)が多数本敷設され、現在「POLANO(偏極中性子散乱装置)」と呼ばれる新たな中性子ビームラインの建設が進んでいる。
今回設置された真空散乱槽は、原子・分子の振動やスピン(回転)運動を解析する新ビームライン「POLANO」用のもので、重さは約20t。直径は同5m、高さは同3mに達し、日立造船(株)が製作した。
同研究所は、「POLANO」の運用を今年の秋から開始することを目指すといっている。