（独）農業・食品産業技術総合研究機構は11月26日、水田で栽培する稲の種子の消毒を約5秒という短時間に行うことができる「水稲種子消毒装置」を（株）山本製作所と共同開発し、実用化の見通しを得たと発表した。
こうした装置としては、水稲種子を60℃の温湯で消毒する装置が普及しつつあるが、消毒には10分程度を要している。
今回の新装置は、100℃で蒸発させた飽和水蒸気をさらに加圧下で加熱し、温度を上げた「過熱水蒸気」と、高温の空気を加熱媒体として使う方式。加熱処理の時間が約5秒と短く、その後の乾燥工程が不要。現用の温湯消毒法は、消毒後に脱水と乾燥が必要で、乾燥には数時間かかるといわれている。新装置は、その点でも注目されそうだ。
水稲種子の伝染性病害は、カビによる「いもち病」、細菌による「もみ枯細菌病」など7種あり、その7種について新装置の防除効果を調べたところ、温湯消毒と同等か、それ以上の効果が確認できたという。
新装置の処理能力は、1時間当たり100～150kg。処理コストは、種子1kg当たり約4円。今後、装置の耐久性などを確認し、「平成27年度以降の実用化を目指す」（同機構）計画だ。
水稲種子伝染病害に対する防除効果（提供：（独）農業・食品産業技術総合研究機構）
