日光でのビタミンD生成と皮膚への有害性を評価
―冬の正午、札幌での日光浴は139分~227分が目安
:国立環境研/東京家政大学(2014年11月27日発表)

 (独)国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは11月27日、成人の健康な生活に必要な1日当たりのビタミンDを太陽紫外線で体内に生成するのに要する時間と、紫外線により皮膚に紅班ができるという有害な影響を及ぼし始めるまでの日照時間を発表した。また、同日からサイトを公開、国内5カ所の「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」の発信を始めた。

 

■国内5地点の紫外線情報をウェブで公開

 

 ビタミンDは骨に必要なカルシウム代謝を正常化し、免疫を高めるなどの作用がある。不足するとカルシウムの沈着障害が生じ、くる病、骨粗しょう症などになりやすい。ビタミンDは魚やキノコなどに多く含まれるほか、太陽の紫外線を浴びることで皮膚内に生成するが、過剰に浴びると人体に有害となる。

 そこで、研究チームは、日本の平均的な成人が1日に必要とされるビタミンD約15μg(マイクログラム、1μgは100万分の1g)のうち、約5.5μgを食物から摂取、残り10μgを日光浴で補うと仮定して、晴天時、両手の甲と顔(面積にして600cm2)を露出した状態で10μgのビタミンD生成に要する日光照射時間を札幌、つくば、那覇の3地点で、7月と12月の午前9時、正午、午後3時の時点でそれぞれ計算した。

 日光浴だけで健康に必要なビタミンDを生み出すには、12月の晴天の日の正午の札幌では139分、つくばでは41分、那覇で14分かかり、日光浴が皮膚に有害な影響を及ぼし始めるまでには、札幌227分、つくば98分、那覇42分となっている。

 その結果、夏(7月)はビタミンD生成に必要な日光浴時間は短く、昼間は紫外線防御が必要だが、冬(12月)は有害線量に達する危険性は、那覇以外は少なく、ビタミンD生成量確保が問題。特に冬の札幌では紫外線が最強の晴天の真昼でも必要なビタミンD生成には2時間以上の日光浴が必要なことが分かった。冬季の北日本では、食物などからと積極的な日光浴によるビタミンD補給が必要となるという。

 また、同研究所は、▽落石岬(北海道)、▽陸別(同)、▽つくば(茨城)、▽辺戸岬(沖縄)、▽波照間(同)の5地点での日光浴推奨時間に関する情報をウエブサイト「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」で公開している。

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