
収穫した「あのみのり2号」。種なしのきれいな断面となっている(提供:野菜茶業研究所)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の野菜茶業研究所は9月9日、受精しなくても果実ができるナスの新品種「あのみのり2号」を開発したと発表した。
植物は、風や昆虫などによって運ばれてきた花粉がメシベについて受精し、種子ができ、果実ができるというプロセスで生育する。それに対し、新開発のナスは、「単為結果性」といって昆虫による受粉や植物ホルモン剤などによる着果促進処理も不要で、収量性の高い品種という。
最低気温が15℃未満でのナス栽培では、着果や果実の生育を安定化させるためにミツバチなどの昆虫の利用や、植物ホルモン剤処理が必要になるといわれる。しかし、植物ホルモン剤処理に要する労力は、栽培に要する全労力の2~3割にもなり、昆虫の利用にもセイヨウオオマルハナバチを使う場合、外来生物法により、飛散防止用のネットが必要になるなどの制約が付く。
新品種「あのみのり2号」の栽培では、そうした必要が一切なく、ナス栽培を省力化することが可能。既に2006年に単為結果性ナス「あのみのり」を発表しているが、今回の「あのみのり2号」は「あのみのり」より1株当たりのナスの果実数が多く、多収なのが特徴。長卵形で姿形も良く、「種なしのきれいな断面のナスが生産できる」という。
「あのみのり2号」は、農研機構と利用許諾契約を締結した種苗会社から種子の販売が行われる予定になっているが、販売が開始されるまでの間は同機構の野菜茶業研究所が有償で種子の提供を行うことにしている。