(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は9月10日、(独)農業生物資源研究所(生物研)と連携して、ゲノム(全遺伝情報)を利用するゲノム育種と呼ばれる作物の品種改良を加速する目的のバーチャルセンターである「作物ゲノム育種研究センター」を開設したと発表した。
作物のゲノム解読は、この10年間で急速に進み、得られた情報が農作物の品種改良に使われている。しかし、急増するゲノム情報を有効に利用するための体制は、まだ整っていない。
今回開設した研究センターは、ゲノム情報を利用した品種改良を加速するため、品種開発で培った育種技術・改良の現場を持つ同機構と、ゲノム研究で蓄積した配列情報など基礎研究を推進する生物研が、共同で開設したバーチャル組織。
当面は、対象作物をイネに限定して、DNA(デオキシリボ核酸)解析の支援体制構築やゲノム育種情報の提供とその拡充に取り組む。
将来は、対象作物をイネ以外にも拡大する計画で、「民間研究機関の品種開発支援にも取り組みを広げ、わが国の作物品種開発競争力の強化に貢献したい」と農研機構はいっている。
農研機構と生物研は、この作物ゲノム育種研究センター開設を記念してのシンポジウムを11月5日午前10時から、つくば市(茨城)の「つくば国際会議場(エポカル)」で開催する。