
上は、今回の実験で撮影された画像。低重力環境で液体中に大小多数の気泡の発生が観察された。下は、地上実験の比較画像。重力が加わっているため気体が上方、液体が下方に溜まっている(提供:JAXA)
(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月5日、同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)から8月4日に打ち上げた観測ロケット「S-310-43号機」の実験は成功したと発表した。
S-310は、直径31cm、全長7.1m、重さ700kg、到達高度約150kmの単段式(1段式)固体燃料ロケット。今回の打ち上げは、ロケットの弾道飛行を利用して、液体ロケットが宇宙を飛行している環境を造り、内部に搭載した極低温流体の液体窒素が飛行中にどのように沸騰、流動するかなどを観察するのが目的。
ロケットは、打ち上げから100秒後に液体窒素の流動が始まり、約150秒間にわたって各部の温度・圧力・ボイド率(気泡の割合)のデータや、気体と液体が混合する二相流挙動の画像データが得られたという。ロケットは、打ち上げから169秒後に高度117kmに達し、335秒に着水した。
S-310ロケットの1号機が打ち上げられたのは、1975年1月で、今回が43号機。これまでに内之浦のほかノルウェーで3機、南極で7機それぞれ打ち上げられているが、これで43機全機の打ち上げが成功したことになる。