
打ち上げ予定の次世代静止気象衛星「ひまわり8号」のイメージ図(提供:気象庁)
(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は8月7日、静止気象衛星「ひまわり8号」を10月7日にJAXAの種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)からH-ⅡAロケット25号機で打ち上げると発表した。「ひまわり8号」は地球から見て宇宙の一点に止まっているように見える日本の静止気象衛星「ひまわり」シリーズの最新鋭機で、続いて平成28年に打ち上げる「ひまわり9号」とともに世界最先端の可視赤外放射計(AHI)を搭載する次世代の静止気象衛星である。
■画面のカラー化、水平分解能も向上
「ひまわり8号」は、東経約140度の赤道上空高度約3万6,800kmに”静止”し、新開発機器の機能確認試験をした後、平成27年から実際の運用を開始する。「ひまわり8号」は、この静止点からAHIによる地球観測と通信機器による気象データの中継を行う。
「ひまわり8号」は、現在運用中の「ひまわり7号」の観測チャンネルが5チャンネル(可視域1、赤外域4)なのに対して16チャンネル(可視域3、近赤外域3、赤外域10)に増え、画像がカラー化される。
また、水平分解能も従来の可視3km、赤外4kmから可視0.51km、赤外2kmと大きく向上する。さらに、これまでは約30分かかっていた全球の撮影が10分に短縮、日本付近は2.5分ごとに観測するなど、特定の領域を高頻度に観測できるようになる。こうした機能強化で、台風や集中豪雨をもたらす雲の移動や発達などを素早くキャッチできるようになる。
打ち上げ時重量約3.5tの「ひまわり8号」を打ち上げるH-ⅡAロケット25号機は、わが国の代表的な衛星打ち上げロケットで、高さ約53m、直径約4m。今回の場合、長さ15mの固体ロケットブースターが2本着く。打ち上げ時刻は、日本標準時10月7日午後2時16分から同6時16分までとなっているが、気象などの関係で同日の打ち上げができなければ、翌日から10月31日までが予備期間になっている。