
頒布が開始されるポリエチレングリコール(23量体)認証標準物質(提供:産業技術総合研究所)
(独)産業技術総合研究所は7月22日、分子量にばらつきのない単一分子量のポリエチレングリコール標準物質を開発したと発表した。合成ポリエチレングリコールの分子量測定や粒子サイズ計測の高精度化などに貢献する成果で、産総研は7月23日から委託業者を通して認証標準物質ポリエチレングリコール(23量体)の頒布を開始した。
■委託業者通じ頒布始める
医薬品や半導体をはじめ先端製品に利用される合成高分子は、近年精密な機能が求められており、合成にあたっては分子の長さを正確に制御し、分子量の分布を狭くしてシャープな物性を発現させることが求められている。
その際に用いられる合成高分子の標準物質は、世界各国の標準研究所から頒布されているが、これまでそれらのすべては分子量にばらつきのある、つまり重合度の異なる高分子が混ざり合った状態の物だった。
産総研の研究チームは今回、超臨界流体クロマトグラフィーと呼ばれる分離装置を用い、多数の異なる重合度の分子が含まれる市販の試料から、ある単一の重合度の分子だけを分離する技術と、分離した単一重合度の分子を効率よく自動的に採取するシステムを開発し、単一の分子量を持つポリエチレングリコール(23量体)の標準物質を作製した。
これにより、高分子の分子量測定装置の校正やその妥当性の確認、分解能評価などが高精度に行えるようになる。ポリエチレングリコールは医薬品や生活用品など多方面で利用されている高分子で、同材料の分子量測定の精密化やナノ粒子の粒子径の厳密な計測などへの貢献が期待できるという。