(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月3日、「静かな超音速旅客機」の実現に向けソニックブーム低減を目指す試験機の2回目の飛行試験をスウェーデンのエスレンジ実験場(キルナ市)で7月22日から8月22日(現地時間)までの間に実施することを決めたと発表した。
ソニックブームは、ジェット機の超音速飛行で発生する衝撃波が生む大音響のことで、JAXAが取り組んでいるのは、「低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト(D‐SEND)」。昨年8月16日にエスレンジ実験場で行った1回目の飛行試験は失敗に終わっている。
今回の飛行試験は、その失敗を踏まえて実施するもので、試験機の全長は7.9m、重量は1t。エンジンを搭載しない無動力の無人機を気球で高度30kmまで上げた後、切り離し、マッハ1.3(音速の1.3倍の速度)で滑空させ、生じるソニックブームを計測する。
昨年行った1回目の飛行試験では、試験機が気球から離れた後、計測地点の約12km手前で予定の飛行経路から外れてしまい、想定していた飛行状態でのソニックブームを計測できずに終わってしまった。
それを受けJAXAは、調査・対策チームを設け、検討を重ねた結果、飛行制御のプログラムが不完全だったために機体の振動を制御しきれなかったことが失敗の原因だと分かり、今回の飛行試験はその対策をとって行われる。