筑波大学とエーザイ(株)は5月7日、潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患向け新薬の実用化開発に合意し、共同開発に着手したと発表した。
■白血球の接着・浸潤を抑える
共同で取り組むのは、エーザイが創り出した「E6007」という低分子化合物の開発。体を構成している細胞の表面には細胞同士をくっつけている細胞接着分子があり、その仲間の一つにインテグリンというタンパク質がある。
E6007は、このインテグリンの働きを阻害する物質で、炎症に関係するリンパ球や好中球といった白血球の接着・浸潤を抑える働きがあり、抗炎症作用が期待されている。
筑波大学はインテグリンの活性化を検出する新たな技術を開発しており、両者はこれらの技術をベースに、新たな炎症性腸疾患治療剤の創出を目指して開発を推進する。また、インテグリン活性化検出法のバイオマーカー(治療有効性の指標)としての可能性を追求する。
炎症性腸疾患は大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍ができる原因不明の疾患の総称で、潰瘍性大腸炎とクローン病に代表され、患者数は年々増加傾向にある。