
トラクターに装着した暗渠施工機(提供:農村工学研究所)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の農村工学研究所は11月6日、(株)北海コーキと(財)北海道農業公社と共同で農地の排水用暗渠工事を簡単・迅速に行える施工機「カットドレーン」を開発したと発表した。トラクターに装着すれば、特別な資材を必要とせずに排水用の空洞を地下に作れる。農家が自分で手軽に排水路を作るのに利用できる。
■深さ70cmまでなら任意の深さに空洞
施工機をトラクターの後ろに装着し、そのまま走行しながら深さ約70cmまでなら任意の深さに10~15cm角の空洞を地下に作ることができる。主に畑や草地での利用が目的で、水田では補助暗渠として利用する。施工機の価格は80~150万円という。
施工機がまず縦長で四角形のブロック状に土を切断、そのブロックを持ち上げて下に四角形のすき間を作る。そのすき間のすぐ横にある土を同じように四角形に切り取り元のすき間に寄せれば、そこに空洞ができる仕組みだ。
できた空洞はそのまま地中の排水路として利用するため、重粘度など粘り気のある湿度の高い土壌に向いている。ただ、特別な資材を使わずに施工するため、大きさが5cmを超えるような石ころや木の切れ端が埋まっている土壌では使えない。また、砂が50%以上など粘り気のない土壌の場合は、空洞の寿命は2~3年以内なので再施工が必要という。
農地の排水性は農作物の品質や収量にも影響するため、従来は地下1メートル程度に排水管やもみ殻を埋める暗渠の整備が進められている。しかし、従来法では資材や工事に時間と経費が掛かるため、農家が独自に低コストで手軽に施工できる技術が求められていた。