(独)防災科学技術研究所は7月30日、設計で想定している以上の地震動が免震ビルに加わった場合を想定し、実大免震建物を周囲の擁壁に衝突させる世界初の実験を同研究所兵庫耐震工学研究センター(兵庫・三木市)の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を使って8月26日に実施すると発表した。
全国には、免震技術を使った共同住宅やオフィスなどビル様免震建物が約2,800棟ある。そうしたビルなどで心配されているのが設計想定以上の揺れが生じた場合の免震建物と周囲の擁壁との衝突の可能性。
免震装置は、通常地面を掘り下げて設置され、ビルなどでは掘り下げた後、土砂が崩れ落ちないようその周囲を厚い鉄筋コンクリート製の擁壁で囲む工法が取られている。
今回の実験は、実大免震建物を地震を模擬した震動によって鉄筋コンクリート擁壁に衝突させ、まだ明らかにされていない衝撃の影響を詳細に検討しようと実施するもの。
衝突実験に使う免震建物の試験体は、総重量687tの4階建て鉄筋コンクリート造り建物で、建物下部に免震装置が組み込まれている。この13.4m×10.0m×高さ14.9mの免震建物と、厚さが20cmと40cmの鉄筋コンクリート擁壁を震動台の上に実際と同じように配置して巨大地震を模した震動を加え、免震建物を擁壁に衝突させる実験を行うという。
この「実大免震建物の衝突加振実験」は、午後3時30分に実験開始の予定で、報道機関に公開する。
No.2013-30
2013年7月29日~2013年8月4日