インク液滴のシミュレーション技術を開発
―プリンテッドエレクトロニクスの研究開発加速へ
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は7月31日、微細な電子回路を印刷の手法で作製する「プリンテッドエレクトロニクス」のための液滴シミュレーション技術を開発したと発表した。濡れ性の違いで描かれた微細パターン上に落とした電子機能性インク液滴の最終形状を、簡易、高速、高精度に予測できる。プリンテッドエレクトロニクス研究の大幅な進展が期待できるという。

 

■ウェブ上でソフトを無償公開

 

 プリンテッドエレクトロニクスは、半導体や金属などを溶かした電子機能性インクで微細な電子回路を形成する技術。インクが濡れにくい撥水性表面上に、親水性領域の微細パターンを形成し、そこにインクを塗布する。
 その際、最終的に基板上に作り出されるインク形状を精密に予測することが求められるが、これまでのシミュレーション技術では最終形状を割り出せなかったり、計算に膨大な時間がかかったりするなどの課題を抱えていた。
 研究チームは、従来法のそれぞれの難点を克服した「HyDro」と名付けたシミュレーションソフトウエアを開発した。液滴の表面形状を、基板表面に接した接触線の部分と、それ以外の部分に分離して計算するのが特徴。
 実際に液滴をたらした実験結果とシミュレーション結果を比較したところ、高い精度で実験が素早く簡易に再現できることを確認できたという。
 研究チームは、今回開発したソフトHyDroを7月31日からウェブ上で一般公開するとともに、今後はこの技術を用い、電子機能性インク印刷による金属配線、電極、半導体層などの製造技術の開発に取り組むという。

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