熱帯林に埋もれた古代都市構造を発見
―カンボジア・アンコール遺跡群でレーザー使い
:筑波大学/国際研究コンソーシアム

「ライダー」測量によって密林の下から発見された構造(提供:筑波大学)

 筑波大学は6月28日、同大学の研究者などからなる国際研究コンソーシアムがカンボジアのアンコール遺跡群でレーザーを使い、これまでわかっていなかった古代都市の構造を発見したと発表した。この調査は、日本、オーストラリア、フランス、英国、カンボジアなど7カ国が参加する国際共同事業として行われ、空中からレーザー光で地上をスキャンして地形を探査する「ライダー」と呼ばれる装置を使って遺跡群を覆い尽くす熱帯林の下に埋もれている古代都市の構造を画像化することに成功した。

 

■高度800mのヘリから調査

 

 アンコール遺跡群が密林の中で発見されたのは、19世紀半ば。しかし、これまでに行なわれてきた調査や研究は、広域に点在する石造りの遺構を対象とするものが大半で、古代都市の存在については遺跡群を覆い尽くす熱帯林が地上踏査を難しくしていることもあって、ほとんど顧みられることがなかった。
 今回のアンコール遺跡群を「ライダー」で調査するための7カ国8組織からなる国際研究コンソーシアムが結成されたのは2011年末。日本からは、筑波大の研究者などからなる「日本国政府アンコール遺跡救済チーム」が参加、「ライダー」を搭載したヘリコプターを高度800mで飛ばして2012年4月11日から同22日にかけ実測調査を実施した。
 その結果、熱帯林を剥ぎ取った遺跡群全域の地表の形状が初めて確認され、これまで全容がわかっていなかった古代都市の面的な構造が判明したという。
 筑波大は、今回の成果を足がかりにしてさらに「地下に埋もれている遺構のより正確な当初の姿を明らかにし、それらの遺構が築造された年代、利用された年代などを明らかにすることが求められる」といっている。

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