1月末に31%の測定局で基準値超す
―「PM2.5」高濃度現象の分析結果を発表
:国立環境研究所

 (独)国立環境研究所は2月21日、今年の1月から2月初めにかけ日本各地で見られた大気中の「PM2.5」の高濃度現象についての分析結果を発表した。
 PM2.5は、直径が2.5μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)以下の超微粒子のこと。大気中に浮遊し、吸引すると気管を通過しやすく、ぜんそくや気管支炎などを引き起こす恐れがあり、新たな環境問題として急浮上してきている。
 今回の分析結果は、全国で見られたPM2.5の高濃度現象を、1月1日~2月5日時点での観測データとシミュレーションモデルをもとにまとめたもの。
 国のPM2.5の環境基準値は、1日平均値で大気1㎥当たり35μg(マイクログラム、1μgは100万分の1g)。発表によると、全国各地の大気測定局において1月から2月初めにかけてその環境基準値を超す測定値を記録した日が16日あり、1㎥当たり50μgを超す地域もあった。1月31日には、全国の測定局の31%が環境基準値を超える測定値を記録した。
 なかでも環境基準値を超す測定値を記録した測定局が多かったのが西日本地域(近畿、中国、四国、九州)。九州西端の離島でも高濃度が記録された。
 また、同研究所が日本列島の西端に位置する五島列島の一つ福江島(長崎)で採取したPM2.5よりさらに小さい粒径1.0μm相当の粒子状物質の成分を分析したところ、硫酸塩、有機物が多く、PM2.5もこれらが主要成分ではないかと推定されるという。
 これらの観測値と東アジアスケールの大気シミュレーションモデルによる解析の結果、この時期のPM2.5高濃度現象は、大陸からの越境汚染と大都市圏スケールの都市汚染の複合により発生した可能性が高いと考えられるとし、その影響の割合は今後、詳細な解析が必要だとしている。

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