(独)農業環境技術研究所は2月19日、表土の削り取りや表層土と下層土を入れ替える反転耕では除染が困難な福島県内の水田で、「水による土壌撹拌・除去」技術を試したところ、土壌中の放射性セシウム濃度は除染前の38%に、玄米中の濃度は42%に低減したと発表した。 水による土壌撹拌・除去技術は、汚染された水田を畔板(あぜいた)で囲んで水が漏れないようにした後、田に水を入れ、分散剤の水酸化ナトリウムを加えてpHを8~9に調整、代かき(しろかき)をして土壌を細かくし、水田表面の土壌粒子の混ざった水を排水することを繰り返すことで、水中に分散した放射性セシウムを含む土壌粒子を除去するという技術。 排出した水はタンクに貯め、凝集剤を加えて、放射性セシウムの吸着した土壌粒子を沈殿させ、ろ過装置で水分を除去して回収する。 福島県農業総合センター、(独)農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター、太平洋セメント(株)などと共同で実施した実証試験では、代かき・排水処理を4回繰り返し、除染効果を測定した。その結果、深さ0~15cmの土壌中の放射性セシウム濃度は除染前の38%に減少、栽培したイネの玄米中の放射性セシウム濃度は、除染していない区域の42%に減少した。水田の地上1m空間線量率は除染前の70%だった。 この技術の標準的な費用は、直接工事費が10a(1,000㎡)当たり約100万円と試算されたという。すでに耕作された汚染水田の除染として活用が期待されるとしている。
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実証試験用の田に水を入れ、土壌撹拌が行われた(提供:農業環境技術研究所) |
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