銀河宇宙線の加速についての定説覆る
―土星探査機カッシーニの観測データ解析で判明
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月18日、土星探査機カッシーニの観測データを解析したところ、これまでの定説とは異なる条件の下で宇宙線粒子が加速されることが見出されたと発表した。
 カッシーニは米航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、イタリア宇宙機関が協力して1997年10月に打ち上げた土星探査機。2004年から土星を周回し観測を続けており、2007年2月3日に太陽からの粒子の流れである太陽風が土星の磁気圏に衝突することにより生じる強い衝撃波を詳細に観測することに成功、強い衝撃波が宇宙線粒子を加速させる現場をはじめて捉えた。
 その時の磁場の状態などを国際チームが調べたところ、磁力線と流れがほぼ並行だった。これは従来、電子加速を起こさない条件だと考えられていた。定説が覆されたのは、従来の説の元となった観測対象が弱い衝撃波だったのに対し、今回の事例は強い衝撃波だったことが原因と考えられるという。
 今回の新たな知見は、銀河宇宙に満ちている高エネルギーの宇宙線粒子生成の問題を解くうえで大きな意味があるという。

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