ヒトとチンパンジーの異種間交雑はなかった
―全ゲノム配列情報でヒト進化の歴史解明
:産業技術総合研究所/総合研究大学院大学

 (独)産業技術総合研究所は1月15日、ヒトとチンパンジーのゲノム配列を比較し、配列間の違いの程度などを解析したところ、ヒトとチンパンジーの種分岐年代は600万~760万年前と推定され、過去に提唱された「祖先におけるヒト-チンパンジー間の交雑」はなかったという結論が得られた、と発表した。
 この研究は、総合研究大学院大学との共同成果。2004年に産総研が開発したヒト遺伝子データベース「H-InvDB」、その副次的データベースである比較ゲノムデータベース「G-compass」、分子進化データベース「Evola」などを活用、2011年に産総研に導入された大型計算機を用いて解析した。
 研究ではヒトとチンパンジーのほかゴリラ、オランウータンの全ゲノム配列も含め解析した。その結果、種の分岐年代については、近年ヒト親子ゲノム解析により明らかになった突然変異率を用いて推定したところ、ヒト系統とチンパンジー、ゴリラ、オランウータンとの種分岐年代はそれぞれ600~760万年前、760~970万年前、1500~1900万年前で、これまで知られてきたヒト祖先の化石の年代とよく合致したという。
 また、「ヒトとチンパンジーは祖先において交雑し、その痕跡が性染色体のX染色体に残っている」とする仮説について調べたところ、ヒトとチンパンジーの分岐は1回の分岐で説明できることが明らかになり、交雑仮説を否定する結論になったという。

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