(独)森林総合研究所は6月12日、福島県内の森林から融雪期に流れ出た渓流水中に含まれる放射性物質の測定結果を発表した。
2011年3月11日に起きた東北太平洋沖地震で生じた東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町・双葉町)の事故では、放射性物質が大気中に放出され、河川の上流の森林に降下した。
今回の観測は、農林水産省からの委託で、融雪期に福島県内の森林から流出した渓流水に含まれる放射性セシウムの濃度を福島県林業研究センターと協力して調べたもの。
測定は、雪解け時期に当たる3~4月に、福島県内の伊達市、飯舘村、二本松市、会津若松市、郡山市、広野町の6カ所で森林から流れ出た渓流水を毎日採取し、合計342試料の放射性セシウムを計測した。
その結果、333試料は、検出限界以下だったが、降雨があった日に福島県北部の伊達市、飯舘村、二本松市の3採水地点で採取した9つの試料から1ℓ当たり1.0~5.9ベクレルの放射性セシウムが検出された。
放射性セシウムが検出されたそれら9試料は、いずれも濁っていて、ろ過により懸濁物質を取り除いて再度ろ過水について測定し直すと何れも不検出だった。このことから、「渓流水中の放射性セシウムは、懸濁物質中に含まれているものと考えられる」と同研究所はいっている。
放射性セシウムが検出された伊達市、飯舘村、二本松市の3採水地点では、今回の観測後の5月以降も採水を継続して分析を進めるとしている。
No.2012-24
2012年6月11日~2012年6月17日