(独)物質・材料研究機構は6月14日、鹿児島大学、プラズマ技研工業(株)と共同で金属粒子を音速の3倍、秒速1,000mという超高速で材料に衝突させ表面に皮膜をつける新コーティング(皮膜形成)技術を開発したと発表した。 同機構オリジナルのコーティングプロセス「ウォームスプレー法」を改良して実現した。この技術を使えばチタン合金をはじめニッケル合金、コバルト合金など様々な材料の強固な皮膜を大気中で作ることができる。 金属粒子を高速で相手材料に衝突させると、粒子は扁平し、衝突速度がある値を超えると接合が生じる。この現象を利用したコーティングを「コールドスプレー法」という。 それに対し、同機構開発のウォームスプレー法は、金属粒子を融点以下の温度に加熱して衝突させる方式。 研究グループは、ウォームスプレー装置の燃料燃焼圧力をこれまでの4倍に高圧化することによって材料に衝突させる溶射粒子の速度を秒速1,000mにまで高めることに成功、チタン合金の皮膜化を実現した。 航空機エンジンなどに使われているチタン・アルミニウム・バナジウム合金(Ti-6Al-4V合金)の粉末を皮膜化したところ、最適な条件下で気孔率1%以下の良質な合金皮膜が得られたという。この合金皮膜について同機構は、「コールドスプレー法で高価なヘリウムガスを使って成膜した結果を上回る」としている。
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上は従来型で、下は新型ウォームスプレー法で作ったチタン合金皮膜の断面図(提供:物質・材料研究機構) |
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