ナノ粒子含む複合材の構造シミュレーションするソフトを開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は12月3日、球形のナノ粒子を混ぜた高分子混合系のコンポジット材料(複合材料)の相分離構造を短時間でシミュレーションするソフトを開発したと発表した。このソフトを使うと15分程度のパソコン計算で含まれている球形ナノ粒子の2次元の分散構造が分かり、材料設計への貢献が期待される。
 最近は、高分子材料に大きさがnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)オーダーのナノ粒子を添加して材料の機能改善が図られている。こうしたコンポジット材料では、ナノ粒子と高分子の界面の効果や粒子の分散効果が、機能発揮や材料物性の上から重要になる。こうしたコンポジット材料を最適化する場合、従来のようなナノ粒子を混ぜては実験し確かめるという手法ではあまりにも時間が長くかかってしまい効率が悪い。そこで、高分子混合系コンポジット材料に混ぜたナノ粒子の分散構造を簡単に予測できる手法が求められていた。
 今回、開発されたシミュレーションソフトは、複数種の高分子がブレンドされた材料に球形ナノ粒子を混ぜたコンポジット材料のμm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)領域の分散構造をシミュレーションできる。
 高分子材料の汎用シミュレーションソフトとしては、土井正男東大教授らが開発したものが知られているが、μm規模領域に分散した球形ナノ粒子を含む高分子混合系コンポジット材料の相分離構造をシミュレーションするソフトはこれまでなかった。
 同研究所は、今回のシミュレーションソフトが最近盛んに使われるようになったナノコンポジット材料全般に汎用的に利用できると見ている。今後は、球状ナノ粒子だけでなく、棒状や板状をしたナノ粒子にも対応できるようにする考え。また、国内外のナノコンポジット材料関連メーカーと連携して材料設計への適用を目指すとしている。

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