レーザー光照射するだけでナノドットの配列を作ることに成功
:高エネルギー加速器研究機構/北海道大学/日立製作所

 高エネルギー加速器研究機構は10月28日、北海道大学、(株)日立製作所と共同で半導体材料として広く使われているシリコン表面にレーザー光を照射するだけでnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)単位の点状凹凸構造(ナノドット)の配列を作ることに成功したと発表した。量子コンピューターや第3世代太陽電池など次世代型電子素子を実現する技術として量子ドットが注目されているが、研究チームはこれを簡単に低コストで作成する製造技術に応用できる可能性があると期待している。
 実験では、半導体シリコンの表面に波長や位相の揃ったレーザー光を直径6mmのビームに絞って、10億分の1秒単位で点滅するパルス光として照射した。その結果、シリコン表面に10~100nmの大きさを持った点状の構造がレーザー光の波長より短い間隔で規則正しく配列した。
 波長より短い間隔で周期的な構造が形成される現象は、これまでにも報告されているが、なぜ形成されるかは長い間ナゾとされていた。それに対し、今回初めて形成過程を電子顕微鏡下でビデオ観察し、その原因が雪の結晶が自然に一定の形をとるのと同様な自己組織化による現象であることを突き止めた。
 研究チームは、レーザーの照射条件を変えることで様々なドット列が作れることも確認しており、将来の様々な高機能電子素子を実現する技術として利用の道が拓けるものと期待している。

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レーザー光照射でシリコン上に作ったナノドットの列(提供:高エネルギー加速器研究機構)