金星探査機「あかつき」、新開発のセラミックスエンジン使い軌道制御に成功
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月6 日、金星に向けて飛行中の金星探査機「あかつき」に搭載した新開発のセラミックスエンジンによる初の軌道制御に成功したと発表した。
 この軌道制御は6月28日、地球から1,460万㎞離れた地点で実施され、エンジンを13秒間噴射した。その後の同機構の追跡局と米国航空宇宙局(NASA)深宇宙ネットワークによる詳細な軌道追跡の結果、ほぼ計画通りの軌道変更が確認された。
 「あかつき」の軌道制御エンジン(OEM)は、ヒドラジンと四酸化二窒素を燃料とする液体ロケットエンジンで、新規に国内開発したセラミックス(材料は窒化ケイ素)を噴射部に使った世界初の方式を採用、耐熱性が向上し、故障しにくくなり、エンジンを高性能化できた。
 OEMの役目は、主として「あかつき」を金星周回軌道に投入する時の逆噴射だが、今回のエンジン噴射は金星への接近条件調整とエンジン出力特性把握を兼ねて行った。
 「あかつき」は、今年5月21日に同機構が種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から「H-ⅡA」ロケット17号機で打ち上げた打ち上げ時質量約500kgの惑星探査機で、金星の大気の謎解明が目的。
 次の軌道制御は、今年11月上旬の実施が予定されており、金星への最接近と高度300~8万㎞の金星周回楕円軌道への投入は12月7日の計画となっている。
 現在、「あかつき」本体と搭載観測機器の状態は正常という。

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