(独)農業生物資源研究所は5月21日、チョウやガの仲間(チョウ目)とカイコの遺伝子の並び方がほぼ同じであることが分かったと発表した。
同研究所とフランス国立農学研究所(INRA)が共同で、オオタバコガと、ツマジロクサヨトウという2種類のチョウ目害虫のゲノム(全遺伝情報)を解読し、カイコのゲノムと比較して判明した。
昆虫は、記録されているだけで93万種以上にのぼる。なかでも、チョウ目は、コウチュウ目(カブトムシやカミキリムシの仲間)に次いで種類が多く、16万種以上が知られ、農作物や森林に大きな被害をもたらす害虫が多く含まれる。また、チョウ目害虫は、農薬抵抗性を獲得し易いことから、その対応が世界的に大きな問題となっている。
このため、同研究所は、2006年にINRAと覚書(MOU)を交わしてカイコ以外のチョウ目昆虫のゲノム情報の取得と、カイコゲノムとの比較解析の共同研究を行っている。
今回の成果は、カイコのゲノム情報利用でチョウ目昆虫の遺伝子同定が可能なことを示したもので、「今後、カイコのゲノム情報を利用して、チョウ目害虫の防除に有効な新規の農薬開発が進むと期待している」と同研究所はいっている。
同研究所は、すでに中国との共同研究でカイコのゲノムの塩基配列解読を終えている。
No.2010-19
2010年5月17日~2010年5月23日