(独)建築研究所は9月14日、iPad(アイパッド)のようなタブレット型情報端末機器を利用する「災害時建築物被害調査支援ツール」を国際航業(株)の協力を得て開発したと発表した。この新しいツールは、既に東日本大震災の気仙沼市(宮城)での国の被災地現況調査などに使われており、今後更に被災地自治体などの要請に応じてこの新ツールを活用した現地調査の技術指導などを行うことにしている。
災害後の現地調査の結果を現場で電子的に入力する調査支援ツールは、阪神淡路大震災の建築物被害調査の膨大な作業量軽減のため、建築研と国際航業が開発した。しかし、そのツールは、当時主流だった携帯型情報端末上で稼働したため、公開から10年以上経た現在ではハード入手が困難になっている。そこで、現在主流のiPadなどで使えるように移植し、機能拡充などしたのが今度の新ツール。
新ツールは、表示画面が大きく、高解像度で、さまざまな点で使い勝手が向上している。地図が画面に表示されるので地図を持参しなくてもよく、調査結果も画面上に入力するので、紙の調査表がいらない。調査項目の内容や入力選択肢などは、利用者側で自由に変更できる。また、iPadの写真撮影機能を使い現場で調査対象建物の写真を撮影して取り込めるのでデジカメ持ち歩きの必要もない。
さらに、iPadをインターネット接続すれば、ネット経由で調査結果をサーバーに送信して調査結果のリアルタイム集約もできる。iPadのGPS(全地球測位システム)機能が利用できれば、調査対象建物も探し易い。
建築研は、更なる機能の改善・拡張に加え、利用可能端末や基本ソフトの拡大を進める予定という。
No.2011-37
2011年9月12日~2011年9月18日