(独)産業技術総合研究所は9月14日、イオン(電気)を良く通すセラミックスシートを開発したと発表した。次世代の蓄電池として安全性の高い全固体型リチウムイオン電池の開発が進んでいるが、その実現には固体電解質と呼ばれるリチウムイオンを良く通す固体材料を開発しないとならない。新セラミックスシートは、その固体電解質に使えるという。 現在実用になっているリチウムイオン電池は、プラス・マイナス両電極の間に可燃性の液体電解質を挟んだ構造になっている。それに対し、両極間に挟むイオンの運び屋である電解質が液体ではなく固体なのが全固体型リチウムイオン電池。 新セラミックスシートは、「NASICON型」と呼ばれる結晶構造をもつガラスセラミックス電解質で、新たな焼成技術を使ってこれまで困難だった結晶粒界部(結晶と結晶の境目)のイオン抵抗低減を果たし、室温での高い総合伝導率を実現した。 セラミックス電解質の結晶粒界部のイオン伝導性は、結晶粒内部の数分の一から数百分の一と一般にいわれているが、粒界抵抗の低減でその壁を破り、結晶粒子内部と結晶粒界部分のイオン伝導率を総合した総合伝導率のアップに成功した。 新セラミックスシートは、室温で高い総合伝導率を示すだけでなく、柔軟性があって、耐水性に優れ、800℃まで利用可能としている。 産総研は、新セラミックスシートを使ったコイン型のリチウムイオン電池を作製し充放電性能をチェックしているが、「固体電解質として有効に機能することが確認された」という。
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新開発のセラミックスシート。固体電解質として期待される(提供:産業技術総合研究所) |
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