(独)農業・食品産業技術総合研究機構は9月1日、日本トーカンパッケージ(株)と共同で実(み)が軟らかく傷付き易いため長距離輸送が難しかったイチゴなどの果実の輸送中の傷みを大幅に軽減できる包装容器を開発したと発表した。 この包装容器は、複数個の凹みを並べたトレーで一つの凹みに一個の果実を納める市販のホールトレーがそのまま使えるので、イチゴやサクランボのような傷付き易い果物の輸出を含めた長距離輸送手段として利用拡大が期待される。 日本産のイチゴは、品質の高さから東南アジアなどで人気が高まっているが、その輸送形態の多くは国内同様のプラスチックトレーを用いた平詰めなため、輸送中の振動や果実同士の接触で生じる傷みによる品質低下などが問題になっている。 同機構の九州沖縄農業研究センターと日本トーカンパッケージは共同で、輸送中の果実の傷みや鮮度の低下を防げる新しい包装容器開発に取り組んだ。研究者が目を付けたのは、傷みなど発生の原因となる、輸送中の果物の動きの抑制だった。 そこで、合成樹脂製容器の内側に伸縮性フィルムを接着、このフィルムで図の様に果実とホールトレー(保護シート)を挟み込むように固定した。 宅急便を使ったイチゴの福岡~東京間往復の長距離輸送試験の結果、従来の平詰め包装と比較して新包装容器は輸送時のイチゴの傷みを大幅に軽減できるのを確認した。 新包装容器は、外装を兼ねているので、これまでのように二重折りした丈夫な段ボールの外箱も不要となり、包装が簡易化され、手土産用パックなど様々な販売形態も可能という。
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新包装容器の概要(提供:農業・食品産業技術総合研究機構) |
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