(独)産業技術総合研究所は8月30日、住友精化(株)、東京理科大学と共同で、粘土とプラスチックを用いた耐熱フィルムを開発したと発表した。450℃の高温に耐え、ロール状に巻き上げながら連続生産できる。高温に加熱しても熱収縮がほとんどなく、水蒸気や気体を遮断する能力も高いため、太陽電池を水などから守るシート材料やセンサー用基板材料、蓄電池などへの応用が有望という。6カ月以内の製品化を目指し、長期耐久性評価や量産体制の確立を急ぐとしている。
産総研は、これまでに粘土による耐熱フィルムを開発してきたが、脆くて取り扱いにくく連続的な生産ができず、コスト面などから実用化が難しかった。また、耐熱プラスチックとしてポリイミドが知られているが、加熱による変形が大きく、水蒸気を遮断する能力も高くないなどの問題があった。
今回は、これらの弱点を克服するためにポリイミドと様々な粘土との混合を試み、その最適な組み合わせや配合比率を探した。その結果、特殊加工した非膨潤性粘土との組み合わせが最適であることを見出した。
この粘土をポリイミドと均一に混ぜて乾燥させ、350℃までの高温で加熱処理してロール状の耐熱フィルムにする連続生産技術を確立した。フィルムは、厚さ0.08mm、幅は50cmまでの大きさでロール状に連続生産できる。室温から350℃の高温まで加熱しても収縮率が0.04%と極めて小さく寸法がほとんど変わらないため、印刷技術でフィルム上に微細な電子回路を精度よく作ることなども可能という。
No.2011-35
2011年8月29日~2011年9月4日