(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月24日、同日開かれた宇宙開発委員会に次世代の電波天文衛星を目指す第25号科学衛星「ASTRO-G」の開発中止案を報告したと発表した。
報告によると中止の理由は、現時点で達成可能な宇宙展開アンテナの鏡面精度では十分な科学成果が得られず、仮に目標レベルを下げても当初計画を大きく上回る資金と時間が必要なことが判明したから、だとしている。
報告を受けた宇宙開発委員会は、部会で調査することを決めた。
「ASTRO-G」は、宇宙で展開する直径9mのアンテナと地球各地の電波望遠鏡を連携することで、直径35,000km相当の超巨大電波望遠鏡として働かせ、「ブラックホール重力場の検証」や「超高エネルギープラズマ現象探査」などを行うことを目指すJAXAと国立天文台の共同プロジェクト。研究段階を経て平成20年から開発段階に移行し、「H-2A」ロケットで平成24年度の打ち上げを目指していた。
しかし、当初予定していたNASA(米航空宇宙局)との協力が成立せず、展開アンテナにも技術課題があることが明らかになり、平成21年に入ってプロジェクト活動を一旦中止。技術課題の検討と実証を行った結果、求められる鏡面精度0.4mmの達成は困難と判定された。
このため、プロジェクトの実施主体であるJAXA宇宙科学研究所(ISAS)は、「ASTRO-G」計画中止を決断、今年7月にJAXA理事会も了承、今回の宇宙委員会報告となった。
No.2011-34
2011年8月22日~2011年8月28日