次世代太陽電池で世界最高のエネルギー変換効率を記録
:物質・材料研究機構/科学技術振興機構

 (独)物質・材料研究機構は8月25日、(独)科学技術振興機構と共同で、次世代太陽電池の有力候補の一つと期待されている「色素増感太陽電池」で世界最高のエネルギー変換効率11.4%を記録したと発表した。
 太陽電池のエネルギー変換効率は、光電変換効率ともいい、入射した太陽光のエネルギーと、太陽電池から得られる電気エネルギーの比を%で表したもの。色素増感太陽電池でエネルギー変換効率の世界記録が更新されたのは5年ぶり。
 今実用になっている太陽電池は、製造工程で高温や高真空を必要とするためコストが高くなるという課題を抱え、新材料を使う低コスト次世代太陽電池の開発が必要不可欠といわれている。
 色素増感太陽電池は、太陽光を吸収する色素をしみ込ませた酸化チタンなどの多孔質半導体を使って作り、高温・高真空プロセスを必要とせず、資源的な制約の少ない安価な材料を使い印刷で大量生産できることから発電コストの大幅ダウンが可能と見られている。
 しかし、色素増感太陽電池のエネルギー変換効率は、シャープ(株)が2006年に達成した11.1%が公認の世界最高値で、以来約5年間破られていない。
 今回の世界記録は、酸化チタンが色素をより良く吸着するようにする新たな増感促進剤を開発して実現した。達成した変換効率11.4%は、既に国際的な標準試験機関の公式データになっている。
 同機構は、さらにこの新増感促進剤を使って変換効率15%達成を目指すと共に、民間企業と共同で実用化研究を進め、「火力発電並みの発電コスト1kW当たり7円を実現したい」といっている。

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