「はやぶさ」が持ち帰った微粒子の分析結果を発表
:高エネルギー加速器研究機構/東北大学

 高エネルギー加速器研究機構は8月26日、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子を東北大学の中村智樹准教授らが同機構の大型放射光施設を用いて分析した結果、イトカワ誕生の謎が明らかになったと発表した。イトカワの元になった母天体は、直径20km程度だったことや、その中心部の温度が800℃以上にまで上昇したこと、その後に他の天体との衝突で飛び散った破片が再結集して今のイトカワの姿になったことなどが分かった。
 調べたのは、イトカワ表面で採取した粒径0.03~0.15mmの微粒子38個。放射光施設を用いたX線回折分析などを行った結果、カンラン石を主成分とし地球の岩石には存在しない隕石特有の鉱物組成を持っていた。このことは、イトカワが太陽系の最も始原的な物質で構成されていることを示しているという。
 また、微粒子の中には、天体内部で800℃もの高温で加熱されたものがあることが分かった。ただ、現在のイトカワは、長さが500m程度で、中心部はこれほど高温にはならない。このことから元となった母天体は、大きさが20km程度あり、その中心部で加熱されたのではないかとしている。イトカワが現在のように小さくなったのは、他の天体と衝突して飛び散った破片が再結集したためとみている。
 今後さらに詳細な分析を続けていくことで、初期太陽系における小惑星など微小天体形成のプロセスや天体表層部の物質の変成過程などの解明が加速すると、中村准教授らは期待している。

詳しくはこちら