自己免疫病の原因物質抑える分子を発見
:筑波大学/カリフォルニア大学/東北大学/大阪大学

 筑波大学は7月6日、花粉症などのアレルギーや難病とされる自己免疫病の原因物質「自己抗体」が体内で作られるのを抑制する分子を発見したと発表した。
 抗体は本来、体に侵入した細菌やウイルスなどの外敵「抗原」を攻撃して自分の身を守るために作られる免疫物質だが、それが自分自身の体を攻撃してしまうように働くのが自己抗体。今回の成果は、その自己抗体がどのようにして体内で働いているのかを分子レベルで突き止めたもの。研究グループは、自己免疫病などの発症メカニズム解明や、その予防・治療法の開発につながると期待している。
 発見したのは、同大学人間総合科学研究科の渋谷彰教授、横溝貴子研究員らと、米国カリフォルニア大学、東北大学、大阪大学の研究者からなる共同研究チーム。
 抗体は、免疫細胞の一種であるBリンパ球で作られる。研究チームは、Bリンパ球の細胞膜上に「DAP12(ダップ12)」と「MAIR-Ⅱ(メアⅡ)」と呼ばれる分子が結合した状態で存在していることを見出した。これらが免疫細胞のマクロファージやNK細胞を活性化させることはこれまでも知られていたが、細胞膜上に結合して存在していることを確認したのは世界で初めてという。
 さらに、マウスの遺伝子操作実験で一方の分子だけを欠損させると、抗原に対しマウスのBリンパ球が普通以上に強く反応、増殖した。特にDAP12が欠損した場合、自己抗体が作られたという。この結果について、研究チームはMAIR-Ⅱと結合したDAP12はマクロファージやNK細胞を活性化させる一方、B細胞による抗体、特に自己抗体の産生を抑えていることを示しているとしている。

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