(独)農業・食品産業技術総合研究機構は6月21日、同機構の九州沖縄農業研究センターが(株)ケット科学研究所と共同で米の品質低下被害を収穫前に知ることができる予測装置を開発したと発表した。
水稲栽培では、近年、気象不良による玄米の品質低下が頻発している。その品質低下した規格外米には、農業共済制度が適用されるが、適用を受けるには収穫する前に栽培農家が被害申告を行い、共済組合による調査を受ける必要がある。
新装置は、「乳白粒発生予測装置」といい、収穫前約10日の時点の玄米の横断面を解析することで玄米の検査等級を下げる「乳白粒」の判定を行うというもの。
乳白粒は、玄米の表面の半分以上が白濁している粒のこと。乳白粒は、日照不足、台風、高温などで発生し、白濁部分のデンプン粒の詰まり方が粗いため規格外米になる。
しかし、登熟と呼ばれる成熟途中は、品質良好な玄米(整粒)も乳白粒と同様に表面が白濁していることから、収穫前に玄米の外観から整粒と乳白粒とを区別することが難しいという問題があった。
新装置は、その問題を解決したもので、100粒の玄米を一度に切断する機器と、そこで得られた切断面を撮像する機器、得られた画像の解析から乳白粒をカウントする機器、で構成されている。
同機構は、新装置を使い収穫10日前時点の玄米の乳白粒発生割合を予測し、実際の収穫時の乳白粒発生割合とほぼ一致することを確認しているという。
同機構は、「この装置により農家が被害を事前に把握し、農業共済制度の適用を受けるための被害申告を的確に行えるようになる」と見ている。
No.2011-25
2011年6月20日~2011年6月26日