真夏の計画停電と節電対策の効果を試算
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は6月21日、真夏の8月の東京での計画停電とエアコン(空調)を中心とする節電対策が最大電力需要や室内温度などに与える影響や効果を試算し、その結果を発表した。
 発表によると、エアコンの設定温度を平均値(家庭で24.5℃、オフィスで26℃)から28℃に引き上げると、家庭で6~10%程度、オフィスで2%の節電効果があるという。
 この計算には、産総研が明星大学や岡山理科大学などと共同開発した「都市気象-ビルエネルギー連成モデル」を用いた。このモデルは、気象や街区構造で変わる気温、湿度と空調需要を計算でき、空調排熱による気温上昇と、それによる空調電力需要増も考慮に入れているので、空調節電効果の街区構造による変化も評価できる。
 計算の対象領域は、東京23区と多摩地区の一部を約500m四方ごとに区切り、建物が無い区画を除く3,162区画について、最高気温が35 ℃以上の猛暑日だった2007年8月5日の条件で試算した。
 電力需要の5分の1を順番に3時間停電する輪番停電では、停電中に室内に溜まった熱を除くために停電後、エアコンが一斉にフル稼働するので、家庭の電力需要が増え、業務(オフィス)と合わせての電力需要削減は9%にとどまる結果となった。夏時間を導入して全ての人が生活時間を1時間前倒しすると、午後2時の電力需要は抑えられるものの、帰宅による午後4時からの家庭需要が増え、業務と家庭を合わせた電力需要が増える可能性があることも分かった。
 また、通風換気は午後4時以降には効果があり、窓日射遮蔽は家庭で7~8%、オフィスで3%の節電効果があった。朝夕の打ち水は温熱環境を緩和するが、昼間の打ち水は大規模に行っても、節電効果は小さいことが分かった。
 産総研は、この試算の詳細を7月22~24日までつくば市(茨城)で開かれる「第26回日本ヒートアイランド学会大会」で発表する。

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