つらい腰曲げ作業を軽労化する農作業補助装置を試作
:農業・食品産業技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の生物系特定産業技術研究支援センターは5月17日、腰を曲げてのつらい農作業を軽労化する装着式の農作業補助装置を試作したと発表した。モーターなどの動力を使わない簡便な装置構成で、身体のひねり動作にも対応できる。平成20年度から研究開発してきたもので、さらに試作改良を加え実用化を目指す予定。
 日本の農業は、生産効率のアップと人手不足解消を目的に作業の機械化が進み、省力化・軽労化が図られてきた。しかし、未だに多くの人力作業が残され、中でも長時間にわたる農作業特有のつらい前屈姿勢での作業は、肉体的・精神的に大きな負担となっており、その軽労化が求められている。
 同センターは、福祉やロボットの分野で人間が装着して作業を軽労化するタイプの補助装置の技術開発が進んでいるのに着目、その技術を取り入れ農業現場のつらい人力作業の軽労化に貢献する農作業補助装置の開発に着手、試作機を作り上げたもの。
 試作機は、作業者の身体につけるハーネス(ベルト)と、そのハーネスを吊り下げる金属製のフレームからなる簡単な構造で、股関節、膝関節、足関節がついていて作業者は装着したまま立ったり前屈したりでき、歩行も容易に行える。電源などの動力は、使わない。
 前屈姿勢中は、この装置が体重を支えてくれ、通常では筋肉の疲労により長時間維持できない膝を曲げ腰への負担を少なくする姿勢で作業をすることができる。
 同センターでは、様々な作業者の体格に合わせられるようにする調整機能の追加や、軽量化などの改良を加え、実用化までもっていきたいとしている。

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試作した農作業補助装置の構造図(提供:生物系特定産業技術研究支援センター)