(独)物質・材料研究機構は1月27日、レアメタルを用いないオールアルミ二ウム系の抵抗変化型メモリー(ReRAM)と、その集積化プロセスを開発したと発表した。抵抗変化型記憶素子は、次世代のメモリーとして期待されている。同機構は、今回の開発により次世代半導体デバイスにおけるレアメタル使用量の大幅削減に道が開けたとしている。
抵抗変化型メモリーは、電圧の印加により材料の抵抗が高(OFF状態)と低(ON状態)と可逆的に変化することを利用した素子。金属と絶縁体をサンドイッチ状にした簡便な構造で、しかも高速性があり、消費電力が少ないなどの特徴がある。ただ、これまで各国の研究開発で試作された抵抗変化型記憶素子は、いずれもその材料に資源量が少なく価格が不安定なレアメタルを含んでいた。
物材研の研究チームは、「ありふれた材料を用い、構造を工夫することで機能を実現する」というコンセプトに基づいて研究を進め、アルミニウムと酸素からなる素子の開発に成功した。記憶を担う部分はアルミニウム酸化物(アルミナ)、電極と配線部分はアルミニウムでできており、従来の半導体製造プロセスで使われているRF(高周波)スパッタ法、真空蒸着法、フォトリソグラフィ法を用いて素子を作製した。試作した5~10μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)角のデバイスで、メモリー容量256ビットを確認した。
原理的には、数十nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)サイズまでの小型化と、それによる高集積化が可能としている。
No.2011-4
2011年1月24日~2011年1月30日