「はやぶさ」回収微粒子の分析を8チームで開始
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月17日、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った岩石質の微粒子の初期分析を開始すると発表した。国内の大学や研究機関の8チームに微粒子の一部を配布し、元素組成や有機物質の有無などを数ヶ月かけて分析する。
 走査型電子顕微鏡を用いたこれまでの観察・分析で、JAXAは1,500個程度の微粒子を岩石質と同定した。また、微粒子の鉱物の成分比率が隕石の特徴と一致し、地球上の岩石のそれとは異なることから、岩石質の微粒子のほぼ全てが「イトカワ」由来のものであると判断した。
 今回の初期分析は、これら微粒子のカタログ化(同定、分類など)に必要な情報を得るのが目的。採集された微粒子のほとんどは、サイズが10μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)以下ときわめて小さいため、取り扱いには特別なスキルや高度な分析技術、機器、装置がいる。それらを備えた研究施設に資料の一部を配布し、鉱物の種類、岩石組織、元素組成、結晶構造、粒子の3次元形状、3次元内部構造、高分子有機物質の有無などを分析、調査する。
 この分析には、放射光と呼ばれる特殊な光を発生させ、原子レベルの超微細な物質構造などを解析できる兵庫県佐田町の大型放射光施設「SPring-8」などが利用される。今回の分析には、米航空宇宙局(NASA)やオーストラリアの研究者も参加する。
 小惑星は、太陽系の惑星が誕生したころの記録を比較的よくとどめている化石のような天体で、今後回収微粒子の分析が進めば惑星のもとになった材料や、惑星が誕生したころの太陽系星雲内の様子についての手がかりが得られると期待されている。

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