(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は12月15日、新型の「H-IIB」ロケット2号機の一段目に使われるLE-7Aエンジンの1回目のエンジン領収燃焼試験を三菱重工業の田代試験所(秋田県)で実施したと発表した。エンジンは、計画に従って50秒間燃焼、正常に働くことが確認された。H-IIBロケット2号機は、2010年度に計画されている我が国の宇宙ステーション補給機(HTV)運用1号機の打ち上げに使われる。
H-IIBロケットは、現用のH-IIAロケットの性能を向上させた液体水素と液体酸素を推進薬とする新大型ロケットで、重さ約16.5tのHTVを地球周回軌道に、重さ約8tの衛星を静止軌道に乗せることができる。国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士の生活必需物資や交換機器、実験装置などを運ぶHTVの打ち上げと、H-IIAロケットとの併用で多様な打ち上げ用途に対応できるようJAXAと三菱重工業が中核になって開発された。
H-IIAとH-IIBの違いは、A型では1基の一段目ロケットエンジン(LE-7A)を2基に増やし、A型では標準型で2本の固体補助ロケット(SRB)を4本にした。さらに、一段目ロケットの機体直径を、4mから1.2m太い5.2mにして推進薬を1.7倍に増強、打ち上げ能力を向上させた。
また、HTVを搭載できるように、ロケット最先端の衛星フェアリングの長さを3m延長して15mにした。これでH-IIBロケットの全長は約3m伸びて約56mに、重さは約85t増えて約530tとなった。
H-IIBロケット1号機(試験機)は、2009年9月11日にJAXAの種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられ、HTV技術実証機を地球軌道に乗せている。
No.2009-50
2009年12月14日~2009年12月20日