筑波大学は6日、nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)スケールの半導体デバイス(半導体素子)の特性を定量的に予測できるシミュレータ「モンテカルロシミュレータ」を開発、シリコンデバイスの単純な微細化による特性向上の限界を明らかにしたと発表した。
シリコンを基礎とした現在の半導体デバイスは、サイズを微細化することで特性の向上など多くのメリットを生み出してきた。この微細化は、際限なく現在も続けられているが、次世代の極微細シリコンデバイスでは、数nmの間隔で高濃度の領域が近接することから、「クーロン相互作用」と呼ばれる電子間に働く電気力(クーロン力)による相互作用が生じ、デバイス特性に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
新開発のモンテカルロシミュレータは、乱数を使って電子の運動をコンピューター上で模擬的に追いかけて電流特性などの特性を求めるシミュレータで、nmスケールのデバイスの特性を定量的に予測できる。
同大学は、このシミュレータを使って微細化によるデバイス特性向上の限界を定量的に予測した結果、10nm以下の次世代デバイスではクーロン相互作用によるマイナス効果でデバイス特性に劣化が生じ、シリコンデバイスの単純な微細化による特性向上の限界が10nm程度にあることが明確になったとしている。
No.2009-48
2009年11月30日~2009年12月6日