(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月25日、同日開かれた宇宙開発委員会に今年11月4日に発生した小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)のイオンエンジンの自動停止について、これまでの検討状況と今後実施予定の計画を報告した。
報告によると「はやぶさ」のAからDまで4基あるイオンエンジンのうち3つのエンジンが運用停止の状態だが、単独では正常に機能しないイオンエンジン2台の同時運転を行い、それぞれ機能を部分的に用いて1台分のエンジン相当の働きをさせることで、当初計画通り2010年6月地球に帰還できる見通しがたった。
今度のエンジン異常は、「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の探査を終え、地球帰還の途上に発生した。動作中のイオンエンジンDの中和器の電圧が自動監視の上限値に達して自動的に停止した。
そこで、4 つのイオンエンジンの機器の起動確認や流量調整を実施した結果、イオンエンジンAの中和器と、イオンエンジンBのイオン源を組み合わせれば1台分のイオンエンジン能力を発揮できることが判明。こうすると、イオンとなるキセノンガスと電力の消費量は、共に2倍になるが、現在のガス搭載量・発生電力で地球帰還まで問題ないことが分った。
イオンエンジンA・Bの同時運用がプラン通り行なえれば、正常に運用できる唯一のイオンエンジンであるCエンジンを使わなくても地球帰還に必要な軌道変更は可能と見込まれるので、「はやぶさ」の来年6月の地球帰還は最初の計画通り可能と見られる。
No.2009-47
2009年11月23日~2009年11月29日