(独)農業生物資源研究所は11月26日、愛知教育大学などと共同で、植物の根に共生する根粒菌の窒素固定に必須な遺伝子を発見し、この遺伝子が根粒菌の窒素固定酵素(ニトロゲナーゼ)の活性形成に関与していることを突き止めたと発表した。
マメ科の植物の多くは、土壌菌の一種、根粒菌と共生することによって根に根粒(コブ状の塊)を作り、そこに共生する根粒菌が空気中から取り込んだ窒素を利用して生育している。
今回発見した遺伝子は、「FEN1」と呼ばれ、宿主の植物中にあるこの遺伝子の働きによって植物の細胞内で作られた有機化合物のホモクエン酸が共生する根粒菌に供給され、そのホモクエン酸を利用して根粒菌が活性のある窒素固定酵素を作るとしている。同研究所は、「なぜ根粒菌は宿主マメ科植物との共生によってのみ高い窒素固定能力を発揮するのか―という重要な問題を解く手がかりが得られた」といっている。
これまでの多くの研究から、窒素固定に関与する宿主植物の遺伝子は多数にのぼると見られている。今回の発見は、マメ科植物と根粒菌の共生系において、植物と共生微生物の間で非常に巧妙なゲノム(全遺伝情報)レベルの相互作用が働いていることを示すもので、植物と微生物の間の相互作用を解明するための基礎知見になると期待されている。
この成果は、英国の科学誌「ネイチャー」の11月26日号に掲載された。
No.2009-47
2009年11月23日~2009年11月29日