第2世代の情報収集衛星「光学3号」の打ち上げに成功
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業㈱は11月28日、同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から政府の情報収集衛星「光学3号」を搭載した「H-ⅡA」ロケット16号機を打ち上げ軌道に乗せたと発表した。
 情報収集衛星は、我が国の外交や安全保障のため北朝鮮の軍事施設などを監視する事実上の偵察衛星。内閣官房の内閣衛星情報センターが運用し、データは防衛省、外務省、消防庁、海上保安庁、国土地理院などが利用している。今回打ち上げた衛星は、性能アップをはかった第2世代機で、地上物体の識別能力を従来の約1mから同60cmに上げているという。
 我が国の情報収集衛星は、1998年の北朝鮮のテポドンミサイル発射をきっかけに開発された。情報収集能力や軌道高度などは、発表されていないが、高性能カメラを積んだ衛星とレーダー搭載の衛星があり、両衛星がペアを組んで昼夜を問わず地球上の特定地点を一日一回は監視できる「2組4基」体制確立を目指している。2003年3月に最初のペア打ち上げに成功した後、同年11月に2組目ペアの打ち上げに失敗し、2006年9月に「光学2号」、2007年2月に「レーダー2号」をそれぞれ軌道に乗せたが、1カ月後の2007年3月に今度は先行の「レーダー1号」にトラブルが発生、現在は「2組3基」の変則体制で運用している。
 今回の「光学3号」は、約5年の設計寿命が過ぎた「光学1号」の代替衛星で、約3カ月の機能チェック後に本格的運用に移る。開発・打ち上げ費用は、約580億円。「光学3号」とペアを組む「レーダー3号」は、来年度に打ち上げる。
 「H-ⅡA」ロケットの打ち上げは、7号機以降、今回を含め10機連続で成功している。

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