熱処理中のシリコンウエハー温度を非接触でその場計測する装置を開発:産業技術総合研究所/半導体先端テクノロジーズなど

 (独)産業技術総合研究所は10月9日、(株)半導体先端テクノロジーズ、大日本スクリーン製造(株)、(株)チノーと共同で、加熱処理中のシリコンウエハー表面の急速な温度変化を非接触でその場計測するモニタリング装置を開発したと発表した。
 この装置は、シリコンデバイス微細化に向けた高速加熱処理技術「フラッシュランプアニール法」の装置向けに開発した。高度微細化が進むシリコンデバイス開発だけでなく、産業分野での各種高温プロセスの温度モニタリング技術としても応用が期待される。
 シリコンデバイスの微細化では、0.001秒ほどの間に1,000ºC余も温度が昇降する高速加熱処理が行なわれる。これには0.001秒以下での加熱時間の制御、数ºCレベルでの加熱温度制御が必須で、加熱処理中のシリコンウエハー表面の温度変化を「その場」観測できる仕組みが必要になる。新開発の温度モニタリングシステムは、そのための装置で、加熱処理中のシリコンウエハーの表面から温度に応じて放射される赤外線で温度を測る方式。
 この様な放射温度計測は、非接触で物体表面の温度を計る測定法として、産業・科学分野で広く用いられているが、今回の開発では2つの技術的問題を克服した。その一つは、加熱に使うキセノンランプの発光が邪魔する問題で、キセノンランプとウエハーの間に水フィルター膜を置き、水が赤外線の一部を吸収する性質を利用して、キセノンランプからの赤外線の一部を除去した。ウエハーは、水フィルターを通過する可視光で加熱される。
 また、温度変化によりウエハー表面の放射率が変化する問題は、ウエハー表面に対して垂直な光の成分と平行な光の成分の強度をそれぞれ測定できる偏光検出型の高速赤外放射温度計と、0.001秒以下で点滅する高輝度参照光源を開発。参照光が消えている時は、ウエハー表面からの熱放射を測り、参照光点灯時にはウエハー表面で反射した参照光が加わったものを測ることでウエハー表面の放射率と熱放射強度を同時に測定できるようにし、放射率を補正したウエハー表面の温度測定を可能にした。

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