超高強度ボルトを開発、粘り強さ従来の10倍
:物質・材料研究機構/共和工業所/扶桑機工

 (独)物質・材料研究機構は10月5日、ボルトメーカーの(株)共和工業所、金属加工の扶桑機工(株)と共同で、最大約1800メガ(メガは100万)パスカルの力に耐え、粘り強さが従来の約10倍という強くて壊れにくい超高強度ボルトの開発に成功したと発表した。
 1800メガパスカルは、1mm2当たり約180kgの荷重に相当し、その力まで耐えることを意味する。
 同機構は、これまで、少量の合金元素を添加し鋼材の金属組織を制御することで、低温でも壊れにくい超高強度鋼を開発してきた。その技術を用いて、従来のボルトの冷間成形(室温近傍)よりもずっと高い温度域の500~700ºCで鋼材をボルトに成形する、いわゆる「温間成形技術」を確立し、従来にない概念の超高強度ボルトを実現した。
 従来、高力ボルトなどの高強度部品は、成形前に素材を熱処理で軟らかく(焼なまし)した後に冷間(室温近傍)で部品形状に圧造し、その後、焼入れ・焼戻しする加工法で作られてきた。
 それに対し新しいボルトは、先に開発した超微細結晶粒組織を持つ鋼を素材にし、圧造が困難な頭部を700ºC付近の高温で成形後、ネジ部を500ºC付近で転造するという焼なまし処理省略型の新製造方法を開発して実現した。
 ボルトの成形は、既存の圧造設備で行え、従来ボルトよりも壊れにくいボルトができる。
 今後は、ボルトの量産性を念頭に置いたプロセスの開発研究に進む。

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新超高強度ボルトの破断試験後の形状。亀裂が伝播しにくい壊れ方をする(提供:物質・材料研究機構)